引用:https://bananafish.tv/
性別を超越した不朽の名作『BANANAFISH』について今回はテレビアニメを視聴しての感想やアッシュの死についても独自に解説していきたいと思います。
『BANANAFISH』とは?
引用:https://kaiphan.com/1499/banana-fish-ep1/
『別冊少女コミックス』にて連載されていた吉田秋生原作の少女漫画でありますが、内容は少女漫画とはかけ離れたアクの強い作品でありマフィアやストリートギャングといった裏社会で生きる人々にフォーカスをあてたハードボイルド・アクションとなっています。
作品では同性愛らしい描写が多くなっていますが、BL作品と一括りにするのでは作品の内容に語弊が生じるので『性別を超越した友情の物語』と言ったほうが正しいと思います。
『無償の愛』 『歪んだ愛』『切ない愛』『醜い愛』と様々な愛の形が出てくる『愛』をテーマにした作品です。
『BANANAFISH』あらすじ紹介
引用:https://anime-tip.com/nk/bananafish/7739
物語の始まりは1973年のベトナム。
米軍兵士グリフは突如錯乱し、自分の仲間達を次々と射殺してまるで生きた人形のようになった彼は『バナナフィッシュ』と一つの言葉を繰り返します。
舞台は1985年のニューヨークに変わります。
非情と暴力が支配する暗黒街にてストリートギャングを束ねる美しい少年、アッシュ・リンクスは美麗な容姿とIQ200の知能と驚異的な戦闘能力を持っており、若干17歳の白人でありながらプエルトリカンやメキシカン、黒人などの様々な国籍のストリートキッズたちを纏め上げるカリスマ性をも持ち合わせています。
アッシュは日本から来た19歳の青年・奥村英二と出会ったことで多くの時間をかけて国籍も育った環境も違う二人の友情が動き出します。
登場人物
アッシュ・リンクス
引用:https://renote.jp/articles/12506
金髪にグリーンアイと類まれなる美しい容姿を持ちIQ200の高い知能に加え卓越した戦闘能力を持つ17歳の美少年。
その容姿からわずか8歳で軍人から性的暴行を受け、その後アッシュを拾ったディノの元で暮らしており高級男娼として働かせられていた暗い過去を持っています。
『アッシュ(灰)・リンクス(山猫)』は通り名であり本名は『アスラン・ジェイド・カーレンリース』ですが、物語後半でゴルツィネとの養子縁組が成立してしまい以降の姓はゴルツィネとなります。
本作のメインキャラクターであり、〝無償の愛〟を教えてくれた英二に救われアッシュにとって唯一の存在となりますが、同時に最大の弱点にもなります。
奥村英二(おくむらえいじ)
引用:https://natalie.mu/comic/pp/bananafish/page/2
カメラマンの助手としてストリートギャングの取材にやってきた童顔な19歳大学生であり、周囲を和ませる純粋で素直な性格をしていますが、頑固で無鉄砲な一面もあります。
アッシュが信頼し唯一心を許している人物。それ故敵勢力から狙われることが多いですが、自身もアッシュを理解し救いたいとの思いから常にアッシュと行動を共にしています。
日本にいた頃は元々棒高跳びで有名な選手でしたが、足の怪我により選手としては跳べなくなってしまった。
ショーター・ウォン
引用:https://comic-mate.com/?p=3169
ニューヨークのチャイナタウンを仕切るギャングのボスでありアッシュとは少年刑務所時代からの親友。
気さくで仲間想いな性格をしており、英二ともすぐ打ち解けた人物。実家は中華料理店を営んでおりいずれショーターが継ぐことになっていましたがアッシュや英二曰く料理はまずいらしく、「お前の代で店は終わりだな」とからかわれていました。
ゴルツィネの手下によって捕らえられ、バナナフィッシュを投与されて英二を殺すように暗示を掛けられしまい英二を選んだアッシュの手によって殺害されました。
ディノ・F・ゴルツィネ
引用:https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1543375701
コルシカ・マフィアのボスであり物語の全てを裏で糸引く裏社会最大の権力を持つ人物。
アッシュの才能を見抜き、殺しなどの英才教育を施した育て親のような存在。少年愛の性癖がありアッシュのことを寵愛し自身の後継者として育てると同時に男娼として商売にも利用していました。
アッシュが自身から背いて以降も、『ヤツは私が育てた。ヤツを殺すのは私だ。』『ヤツは誰にも殺させない。』といったセリフを頻繁に言っており彼への歪んだ愛情を持ち続けたために歯車が狂ってしまいます。
テレビアニメ『BANANAFISH』を視聴した感想
引用:https://kaiphan.com/3649/banana-fish-ep-6/
まず、OPEDともにBANANAFISHの世界観にとてもよくマッチしていて作品の良さを更に引き立たせてくれていました。背景も美しく危険な雰囲気が漂ってきて最高でした。
作品の内容ですが、この作品でたくさんの涙を誘う理由は主人公のアッシュがとことん不幸になるルートしか用意されていないところだと思います。
親友のショーターを自らの手で殺めたこと、最愛の兄グリフの死亡というように自分の友達や親友、家族など周りの大切にしていた人間からどんどん死んでいってしまうのはアッシュが自分の死よりも恐れていたことであったのに容赦なくアッシュの元に降りかかる絶望を見ていて〝権力〟というものの本当の恐ろしさを知った気がします。
アッシュにとっての『幸せ』はきっと〝英二が銃のない安心な世界で住むこと〟だと勝手に思っているのですが、では英二にとっての『幸せ』はなんだろう?って考えたら〝アッシュが生きていてくれる〟ことだと仮定すれば、〝二人で一緒に暮らす〟という選択肢は考えていなかったことになります。
だとしたらこの二人は初めから離れ離れになる運命だったのかと聞かれるとそんなことはなく、きっとできることなら二人で幸せに暮らしたいと心の奥底では願っていたはずです。お互いの幸せを願う故に離れる・・・。文字を打ちながら涙が出ます(泣)
最終話では、数え切れないほどの黒い過去を背負いながらも懸命に自分の運命から抗い続けるアッシュを見ていて、どうか最後だけは見返りなしで報われてほしかったと思いましたが、最終話ラストシーンではアッシュは幸せそうに眠っていたのでこの結末はアッシュにとっては良かったのかな?なんて思います。天国では先に逝ってしまったショーターと再会して向こうでは穏やかに暮らしてほしいと思います。
BANANAFISHは本当に名作です。私にこの作品と出会わせてくれてありがとうございました。
〝My soul is always with you.〟
(僕の魂はいつも君と共にある)
作中に存在した伏線や謎
引用:http://bunshun.jp/articles/-/8404
アッシュは死んでいない?
『BANANAFISH』の最終話にてアッシュが最後に刺され図書館に行き、眠るシーンがありましたがあれは結局助かったのか分からないままですよね。
個人の解釈なので軽い気持ちで読んでほしいのですが、アッシュに殺しを教えた人物・ブランカが「あいつは憎んで覇者になるよりも愛して『滅びる』道を選んだんです」といっており、このセリフは24話の重要な伏線の可能性があります。
このことから『滅びる』ことを覚悟していたのでアッシュは恐らく『即死はしないが致命傷を負い、もう助からない』ということではないでしょうか。
アッシュ、生きていて欲しかったです(泣)
『バナナフィッシュ』の意味
本作のカギとなるワード『バナナフィッシュ』ですが、作中に出てきた情報を集めて考察していきます。
『バナナフィッシュ』とは研究者のアレクシス・ドースンが偶然発見し、改良を重ねた『服用した人間に薬物暗示をかけその通りに動かすことが可能』
としたアルカロイド系の毒性を含む違法薬物の名前です。
この薬を使ってディノはアメリカの政財界のトップに躍り出る計画を企んでいましたが、最終的に研究施設ごと焼失しこの〝悪魔の薬〟は闇へ葬り去られました。
最後に
引用:https://news.nicovideo.jp/watch/nw4470908
今回は名作『BANANAFISH 』について紹介させていただきました。
この作品を見て、私は自分の人生観が変わるほど大きな影響を受けたので原作未読の方もぜひ見てもらいたいと思います。
漫画やアニメ以外にも舞台化されているので興味の持った方はそちらのほうもチェックしてみてください♪